子どもの質問にすぐ答えなくてもいい。考える力を育てる返し方
質問されるたびに、すぐ答えたほうがよいのではと感じることがあります。
けれども、すぐ答えることが続くと、子どもは自分で考える前に会話を終える形に慣れてしまうことがあります。
自分で少し考えてから答えに出会う経験は、学びへの向かい方を受け身にしにくくします。
AppleとGoogleの認定教育者。デジタル庁のデジタル推進委員。名古屋大学で教育方法学研究に取り組んだ探究学習の専門家。子どもが自分で問いを持ち、考えたことを言葉にできる学びを大切にしています。
この記事では、次のことをお伝えします。
- 好奇心が動くときに起きていること
- すぐ答えたくなるのは自然なこと
- 家庭でできる関わり方
- 問いが残る子は学び方が変わる
- みらゼミが大切にしていること
子どもの「なんで?」が続くと、つい急いで答えたくなることがあります。それでも、少し立ち止まっていっしょに考える時間が、学ぶ楽しさにつながっていきます。
好奇心が動くときに起きていること
子どもが「なんで空は青いの」「どうして先生はああ言ったの」と聞いてくるとき、その問いは単なる知識の確認ではないことがあります。目の前で見たことと、自分の中にある記憶や気持ちを結びつけようとしている最中だからです。
子どもの質問が続くと、こんな気持ちになることがあります。
- どこまで答えればよいのか分からなくなる
- 忙しいときは、つい会話を切り上げたくなる
それでも、そのやり取りの中には学びのきっかけが隠れています。
低学年の子は、考えていることをうまく説明できないことがあります。聞いている内容が少し曖昧だったり、同じような質問をくり返したりすることもあります。それでも、その子の中では何かが引っかかっていて、そこに手を伸ばそうとしていることが少なくありません。
大人から見ると、すぐ答えてあげたほうが親切に見えます。けれど、問いが生まれた直後には、答えそのものより、自分の中で少し考えてみる時間にも意味があります。その時間があると、子どもは「聞けば終わり」ではなく、「考えてみると何か出てくる」という感覚を持ちやすくなります。
問いは、立派な形で出てこなくてもかまいません。何となく気になる、少し不思議、前にも似たことがあった気がする。そうした小さな動きが、考える力の入口になります。
すぐ答えたくなるのは自然なこと
質問されると、すぐに正しい答えを返したくなるものです。親として自然な反応ですし、時間がないときほど、その形になりやすいと思います。間違ったまま覚えてほしくない、もやもやしたままにしたくないという気持ちもよく分かります。
実際、すぐ答えたほうがよい場面もあります。危ないことに関わるときや、子どもが強く不安がっているときには、安心できる答えが必要です。ただ、毎回同じように答えを先に渡していると、子どもは自分の考えを出さないまま会話を終えやすくなります。
たとえば、「なんでこうなるの」と聞かれたときに、すぐ説明が返ってくることが続くと、子どもは「聞けば教えてもらえる」と感じやすくなります。すると、疑問を自分の中で持ち続ける時間が短くなり、考える前に答えを待つ形が身につきやすくなります。
問いを広げるために、親が何でも知っている必要はありません。大切なのは、子どもの疑問を急いで閉じないことです。少し立ち止まる時間があるだけで、子どもの中の考えは動き始めます。
同じ場面でも、言葉の選び方が変わると子どもの反応は少しずつ変わっていきます。
つい返しがちな言葉
- あとでね、と話を閉じてしまう
- 正解だけを短く伝えて終わる
考えが広がりやすい返し方
- どうしてそう思ったのかを聞いてみる
- いっしょに考えてみようと返す
家庭でできる関わり方
返し方は、長くなくて大丈夫です。「何が気になったの」「あなたはどう思う」とひとこと返すだけでも、問いはその場で消えにくくなります。うまく答えられなくても、そのやり取りには意味があります。
「どうしてそう思ったの」「前にも似たことがあったかな」と聞いてみると、子どもは質問を少しずつ考えへ変えやすくなります。問いを正解に変えるというより、問いのまま少し持っていられるように支えるイメージです。
忙しい日は、「気になったんだね」「あとでまた聞かせて」と受け止めるだけでも十分です。大切なのは、子どもの疑問を雑に扱わないことです。その感覚があると、子どもはまた次の問いを出しやすくなります。
親が答えを知らないときには、「お母さんも気になるな」「一緒に調べてみようか」と返せます。大人が分からないままでいてもよいと見せることは、子どもにとっても安心になります。知らないことに出会っても、自分で考えたり調べたりしてよいのだと伝わるからです。
問いが残る子は学び方が変わる
自分で少し考えてから答えに出会う経験がある子は、学びへの向かい方が受け身になりにくくなります。教えられたことを受け取るだけではなく、「自分はどう思うか」「ほかには何があるか」と考えながら学びに入れるようになるからです。
国語の読解でも、ただ正解を当てるだけでなく、「どうしてそう思ったのか」を持ちやすくなります。理科や社会でも、覚えることと一緒に「もっと知りたい」が残りやすくなります。問いを持てる子は、勉強の中で自分から動き出しやすくなります。
低学年のうちに「気になったことは聞いていい」「考えてみていい」と感じられることには、大きな意味があります。その感覚があると、分からない場面に出会っても、すぐあきらめるのではなく、自分で少し手を伸ばしてみようとしやすくなります。
問いが残る子は、教わる前から学びに入っていけます。これは、テストの点の話とは少し違う力です。目の前のことに引っかかり、自分なりに確かめたいと思えることが、学びの深さにつながっていきます。
子どもの問いを受け止める時間は、家庭でも教室でも同じように大切です。みらゼミでは、その問いを学びの広がりにつなげる授業を大切にしています。
みらゼミが大切にしていること
みらい人材ゼミナールでは、子どもが自分で問いを持ち、考え、伝える学びを大切にしています。
好奇心をその場の会話で終わらせず、自分の学びへつなげていく時間が、探究学習の土台になると考えているからです。問いは特別な子にだけ生まれるものではなく、日常の中で少しずつ育っていくものだと考えています。
教室でも、最初から立派な答えを求めるのではなく、「気になる」「もう少し知りたい」という小さな動きを大切にしています。家庭で生まれた問いが教室での学びにつながると、子どもの考えはより豊かになっていきます。
毎日の会話は、学びの準備ではありません。その時間そのものが、子どもが自分の頭で学びに向かっていく力を育てています。
みらゼミでは、子どもが自分で問いを持ち、考えたことを言葉にしていける授業を大切にしています。
ご家庭での関わり方とあわせて、子どもの学び方を育てる場を探している方は、ぜひ授業の雰囲気をご覧ください。