失敗したとき、子どもに最初にかけたい言葉
子どもが失敗して落ち込んでいるとき、何と声をかければよいか迷うことがあります。
励ましたい気持ちがあっても、早く前を向かせようとすると、子どもの悔しさや恥ずかしさが置き去りになることがあります。
失敗した直後に気持ちを受け止めてもらえた子は、その経験をただ苦しいものとして終わらせず、次の考えへつなげやすくなります。
AppleとGoogleの認定教育者。デジタル庁のデジタル推進委員。名古屋大学で教育方法学研究に取り組んだ探究学習の専門家。子どもが自分で問いを持ち、考えたことを言葉にできる学びを大切にしています。
この記事では、次のことをお伝えします。
- 失敗した直後の子どもの中で起きていること
- すぐ励ましすぎないほうがいい理由
- 家庭でできる関わり方
- 失敗の経験が、あとにどう残るか
- みらゼミが大切にしていること
子どもが自分の言葉で考えようとする場面は、日々の会話の中にたくさんあります。家庭でうまくいかない日があっても、問いを大切にする姿勢は少しずつ伝わっていきます。
失敗した直後の子どもの中で起きていること
子どもが失敗したとき、大人から見る以上に気持ちが大きく揺れていることがあります。うまくいかなかった事実そのものより、「できなかった」「見られてしまった」「期待に応えられなかった」といった思いが強く残ることもあります。
ご家庭で子どもと向き合っていると、こんな場面はありませんか。
- どう答えればよいのか、その場で迷ってしまう
- 急いでいると、会話を早く終わらせたくなる
こうしたやり取りは、多くのご家庭にある自然な場面です。
失敗した直後は、子ども自身も自分の気持ちをうまく言葉にできません。黙り込む子もいますし、怒ったような顔になる子もいます。平気そうに見えても、心の中では強く悔しがっていることがあります。
そういうときに大切なのは、すぐに前向きな言葉へ持っていくことより、いまどんな気持ちでいるのかを想像することです。失敗の直後に必要なのは、正しさより受け止めてもらえる感じであることが少なくありません。
同じ失敗でも、子どもによって表れ方は違います。すぐ泣く子もいれば、急に無口になる子もいます。いつもの様子と違うと感じたときには、その子なりに大きく揺れているのだと考えてみることが大切です。
すぐ励ましすぎないほうがいい理由
親としては、早く元気になってほしいと思います。「次があるよ」「気にしなくていいよ」と言いたくなるのは自然です。
ただ、気持ちがまだ追いついていないときに励ましの言葉が先に来ると、子どもは「この気持ちは早く終わらせたほうがいいんだ」と感じやすくなります。すると、悔しさや悲しさを出しにくくなり、その経験が自分の中で整理されないまま残ってしまうことがあります。
失敗から学ぶためには、失敗をすぐ肯定的な話に変えることより、いったんその出来事を自分の言葉で持てることが大切です。受け止めてもらえる時間があると、子どもは少しずつ気持ちを落ち着かせ、自分から考え直しやすくなります。
励ましが悪いわけではありません。ただ、その順番が早すぎると、子どもの気持ちは置き去りになりやすくなります。「悔しかった」と言える前に「大丈夫」が来ると、自分の感情を急いでしまうこともあります。
同じ場面でも、言葉の選び方が変わると子どもの反応は少しずつ変わっていきます。
つい起こりがちなこと
- 大人が先に答えを言ってしまう
- 会話がすぐに終わってしまう
学びにつながりやすい関わり
- すぐに答えを言わず、子どもの言葉を待つ
- どう思ったのかを聞いて会話を続ける
家庭でできる関わり方
最初の言葉は、短くて十分です。「悔しかったね」「思っていた通りにいかなかったね」と、その子の気持ちに寄り添う一言があるだけでも、受け止められた感じは残ります。
話したがらない日は、無理に広げなくてもかまいません。そばにいることや、落ち着いてから話せる空気を残すことにも意味があります。何か言わなければと焦るより、気持ちを急かさないことのほうが大切な場面もあります。
少し時間がたってから、「どこがいちばん悔しかった?」「また同じことがあったらどうしたい?」と聞いてみると、子どもは失敗そのものではなく、そのあとの自分の考えに目を向けやすくなります。順番を急がないことが、その先につながる会話を支えます。
失敗の経験が、あとにどう残るか
失敗した経験を受け止めてもらえた子は、同じような場面に出会ったとき、自分から考え直しやすくなります。失敗を避けることだけが大事なのではなく、失敗したあとにどう向き合えるかも、学びの一部だからです。
うまくいかなかった出来事を言葉にできる子は、自分の中でその経験を持ち直しやすくなります。「次はこうしてみよう」と考えられるようになると、失敗はただの痛い経験ではなく、考える材料に変わっていきます。
低学年のうちに、失敗しても見放されない、気持ちを分かってもらえると感じられることには大きな意味があります。その安心感があるからこそ、子どもはまた挑戦してみようと思いやすくなります。
失敗のあとに残るのは、出来事そのものだけではありません。その場でどんな言葉をかけられたか、どんなふうに見てもらえたかも、子どもの中に残っていきます。だからこそ、最初の一言には大きな意味があります。
失敗をしたあとに「もうやりたくない」と言う日があっても不思議ではありません。そのときに気持ちを受け止めてもらえた子は、時間がたってからもう一度その出来事を振り返りやすくなります。立ち直りは、急がせるものではなく、自分で戻ってこられるように支えるものなのだと思います。
ご家庭での関わり方と教室での学びがつながると、子どもの言葉や表情は少しずつ変わっていきます。ここからは、みらゼミが授業の中で大切にしていることをお伝えします。
みらゼミが大切にしていること
みらい人材ゼミナールでは、うまくいかなかった場面も学びの大事な材料として見ています。
子どもが失敗したときに、すぐ正解へ戻すのではなく、何を感じたのか、どこで止まったのかを言葉にしながら考えていく時間を大切にしています。その時間が、自分で問いを持ち、考え直す力につながっていくからです。
家庭での一言も、そうした学び方の土台になります。失敗した直後にどんな言葉があるかで、その経験の残り方は少しずつ変わっていきます。
みらゼミでは、子どもが自分で問いを持ち、考えたことを言葉にしていける授業を大切にしています。
ご家庭での関わり方とあわせて、子どもの学び方を育てる場を探している方は、ぜひ授業の雰囲気をご覧ください。