宿題で「分からない」と止まってしまう子に、親はどう関わるといいか
宿題の時間に「分からない」と言って手が止まると、どこまで助ければよいのか迷うことがあります。
横で見ていると、早く終わらせてあげたい気持ちが出てきますし、このくらいなら教えたほうが早いと思う日もあります。
けれど、その場で全部を渡すことが続くと、子どもは分からない場面に出会ったとき、自分の頭で考える前に会話を閉じやすくなります。宿題の時間は短く見えても、学び方の土台が少しずつ育つ時間でもあります。
AppleとGoogleの認定教育者。デジタル庁のデジタル推進委員。名古屋大学で教育方法学研究に取り組んだ探究学習の専門家。子どもが自分で問いを持ち、考えたことを言葉にできる学びを大切にしています。
この記事では、次のことをお伝えします。
- 「分からない」と言う前に起きていること
- すぐに教えすぎないほうがいい理由
- 家庭でできる受け止め方
- 宿題の時間が学び方を育てる
- みらゼミが大切にしていること
子どもが自分の言葉で考えようとする場面は、日々の会話の中にたくさんあります。家庭でうまくいかない日があっても、問いを大切にする姿勢は少しずつ伝わっていきます。
「分からない」と言う前に起きていること
宿題で手が止まると、大人にはそこで考えることをやめてしまったように見えることがあります。けれど、子どもの中では、何も起きていないわけではありません。問題文の意味がつかみにくい、どこから考え始めればよいのか分からない、途中までは合っている気がするけれど自信がない。そんな迷いが重なって、言葉より先に手が止まることがあります。
ご家庭で子どもと向き合っていると、こんな場面はありませんか。
- どう答えればよいのか、その場で迷ってしまう
- 急いでいると、会話を早く終わらせたくなる
こうしたやり取りは、多くのご家庭にある自然な場面です。
低学年の子は、自分がどこで困っているのかを細かく説明することがまだ得意ではありません。「分からない」という一言の中に、いろいろな気持ちがまとめて入っていることがあります。本当は少し考えていたのに、言葉にできないまま諦めたように見えてしまうこともあります。
たとえば算数の文章題で、数字は読めていても、何をたすのかひくのかが見えずに止まることがあります。国語の宿題でも、漢字は分かるのに、問いの意味がつかめずに鉛筆が止まることがあります。子どもはそこで、自分なりに頭の中を行き来しています。
「分からない」と言えるのは、何もしていないしるしではなく、困っていることをどうにか伝えようとしているしるしでもあります。そこを大人が受け止められると、宿題の時間は責められる時間ではなく、一緒に考える時間に変わっていきます。
すぐに教えすぎないほうがいい理由
困っている子を見ると、答えややり方をその場で教えたくなるのは自然なことです。忙しい夕方ならなおさらですし、親が悪いわけではありません。早く進めたい気持ちには、子どもを助けたい思いが入っています。
それでも、毎回すぐに答えが渡されることが続くと、子どもは「分からない」と言えば大人が先を進めてくれると感じやすくなります。すると、少し立ち止まって考えるより先に、助けを待つほうが楽になっていきます。
宿題で大切なのは、全部を一人で解くことではありません。分からない場面で、どこまでは分かるのか、どこから先が曖昧なのかを自分で確かめる経験です。その経験がある子は、学校でも「ここが分からない」と言いやすくなりますし、人に助けを求めるときの言葉も少しずつ育っていきます。
反対に、答えだけが先に来る時間が続くと、子どもは困った場面で自分の頭の中を言葉にする機会を失いやすくなります。学力の前に、学び方が育ちにくくなってしまいます。
同じ場面でも、言葉の選び方が変わると子どもの反応は少しずつ変わっていきます。
つい起こりがちなこと
- 大人が先に答えを言ってしまう
- 会話がすぐに終わってしまう
学びにつながりやすい関わり
- すぐに答えを言わず、子どもの言葉を待つ
- どう思ったのかを聞いて会話を続ける
家庭でできる受け止め方
宿題で止まったときに、すぐ正解を言う代わりに、「どこまでは分かった?」「何を聞かれている問題かな」と返してみると、子どもは自分の考えを少しずつ出しやすくなります。難しい質問をする必要はありません。子どもが今立っている場所を、一緒に確かめるつもりで十分です。
問題文を声に出して読んでもらうだけでも、動き出すことがあります。目で追っているだけではつかめなかった内容が、声に出すことで見えやすくなる子もいます。ノートの途中式や消し跡を見ながら、「ここまでは考えたんだね」と受け止めるのもよい関わり方です。
うまく進まない日に、長く付き合えないこともあります。そんなときは「今日はここまで一緒に見よう」「先生に聞くところを決めようか」と、次の一歩だけを一緒に決める形でも十分です。そのやり取りがあると、子どもは放り出された感じを持ちにくくなります。
子どもが困っているときに大切なのは、すぐ解決することより、困ったままでも考えてよいと思えることです。家でその感覚が育つと、宿題の時間そのものが少し変わっていきます。
宿題の時間が学び方を育てる
宿題は、その日の勉強を確認する時間であると同時に、分からないことにどう向き合うかを覚えていく時間でもあります。ここで少し考えてから人に頼る経験がある子は、学校でもすぐに投げ出しにくくなります。
一度でうまくいかなくても、「前はすぐ止まっていたけれど、今日は自分で問題文を読み直していた」といった小さな変化が見えてきます。そうした変化は点数のように分かりやすくはありませんが、学びの土台としてはとても大きなものです。
子どもが自分で考えた時間は、たとえ答えにたどり着かなくても無駄にはなりません。どこで迷ったのか、何なら言葉にできるのかを少しずつつかんでいくことで、次に困ったときの向き合い方が変わっていきます。
家庭での短いやり取りが積み重なると、子どもは「分からないことがあっても、考えてみていい」「言葉にしていい」と感じやすくなります。それが、学びに向かう姿勢を支えていきます。
ご家庭での関わり方と教室での学びがつながると、子どもの言葉や表情は少しずつ変わっていきます。ここからは、みらゼミが授業の中で大切にしていることをお伝えします。
みらゼミが大切にしていること
みらい人材ゼミナールでは、子どもが分からない場面で立ち止まり、自分の考えを言葉にしながら学ぶ時間を大切にしています。すぐに正解を受け取るのではなく、問いを持ち、考え、伝える過程にこそ、学びの力が育つと考えているからです。
教室でも、子どもが何につまずいているのかを一緒に確かめながら、自分の言葉で考えを出していけるように支えています。家庭での声かけと教室での学びがつながると、子どもは「分からない」を怖がりにくくなっていきます。
宿題で止まる時間も、見方を変えれば成長の入り口です。急いで終わらせることだけに目を向けず、考え始めるきっかけを残すことが、低学年の学びには大きな意味を持ちます。
みらゼミでは、子どもが自分で問いを持ち、考えたことを言葉にしていける授業を大切にしています。
ご家庭での関わり方とあわせて、子どもの学び方を育てる場を探している方は、ぜひ授業の雰囲気をご覧ください。