「はやくして」と言ってしまうとき、低学年の子に届きやすい声かけ
朝の支度や宿題の場面で、つい「はやくして」と言ってしまうことがあります。
時間がないときにそう言いたくなるのは自然なことですし、毎日の暮らしの中で一度も言わずに過ごすのはむずかしいものです。ただ、その言葉だけでは、子どもには何をどうすればよいのかが伝わりにくいことがあります。
急かす言葉が減り、見通しが伝わる言葉が増えると、子どもは責められた気持ちになりにくくなり、自分で動き出しやすくなります。
AppleとGoogleの認定教育者。デジタル庁のデジタル推進委員。名古屋大学で教育方法学研究に取り組んだ探究学習の専門家。子どもが自分で問いを持ち、考えたことを言葉にできる学びを大切にしています。
この記事では、次のことをお伝えします。
- 「はやくして」と言いたくなる場面で起きていること
- その言葉だけでは届きにくい理由
- 家庭で変えやすい声かけ
- 見通しが持てると動き方は変わる
- みらゼミが大切にしていること
子どもが自分の言葉で考えようとする場面は、日々の会話の中にたくさんあります。家庭でうまくいかない日があっても、問いを大切にする姿勢は少しずつ伝わっていきます。
「はやくして」と言いたくなる場面で起きていること
朝は時間に追われます。着替え、朝食、持ち物の確認、出発までの準備が重なる中で、子どもの動きが止まって見えると、つい短い言葉で急かしたくなります。宿題の時間でも、夕食やお風呂の前に早く終えてほしいと思えば、同じような言葉が出やすくなります。
ご家庭で子どもと向き合っていると、こんな場面はありませんか。
- どう答えればよいのか、その場で迷ってしまう
- 急いでいると、会話を早く終わらせたくなる
こうしたやり取りは、多くのご家庭にある自然な場面です。
親が余裕をなくしやすいのは、やることが多いからです。だから「はやくして」が出るのは、子どもへの不満だけではなく、生活をうまく進めたい気持ちからでもあります。そう思うのは自然なことだと分かると、自分を責めすぎずに言葉を見直しやすくなります。
一方で、低学年の子は、大人が思うほど頭の中で順番を整理できていないことがあります。次に何をするかが見えていない、途中で気がそれた、やることが多くて一つに決められない。そんな状態のときに「はやくして」と言われても、動き出すきっかけがつかみにくいことがあります。
見た目にはのんびりしているようでも、子どもの中では「何からやればいいのかな」と立ち止まっていることがあります。そこが伝わらないまま急かされると、気持ちだけがしぼんでしまうことがあります。
その言葉だけでは届きにくい理由
「はやくして」は、大人にとっては分かりやすい言葉です。けれど、子どもには行動の中身が見えにくい言葉でもあります。何を先にするのか、どこまで進めればよいのかが入っていないからです。
子どもは、急いでほしいという気持ちは受け取っても、具体的な動きに結びつけられないことがあります。すると、「急がなきゃ」と思うだけで体が止まってしまったり、気持ちが重くなってさらに動きにくくなったりします。
急かす言葉が続くと、子どもは「また怒られるかもしれない」と身構えやすくなります。そうなると、行動の前に気持ちのほうがいっぱいになり、自分で動こうとする力が出にくくなります。責めるつもりがなくても、言葉の受け止め方は子ども側で変わります。
低学年の時期は、とくに見通しを持つ力がまだ育っている途中です。だからこそ、ただ急がせるより、何をどう進めればよいかが見える言葉のほうが届きやすくなります。
同じ場面でも、言葉の選び方が変わると子どもの反応は少しずつ変わっていきます。
つい起こりがちなこと
- 大人が先に答えを言ってしまう
- 会話がすぐに終わってしまう
学びにつながりやすい関わり
- すぐに答えを言わず、子どもの言葉を待つ
- どう思ったのかを聞いて会話を続ける
家庭で変えやすい声かけ
「はやくして」を全部なくそうとしなくてもかまいません。その次に行動が見えるひと言を足すだけでも違います。「靴下をはいてからランドセルを持とう」「この一問が終わったら見せてね」と言い換えると、子どもは次の動きをつかみやすくなります。
一度にたくさん言うより、一つずつ短く伝えるほうが動きやすい子も多いです。朝の支度なら、「顔を洗って」「次はくつ下」「最後に水とうを入れよう」と区切るだけで、見通しが持ちやすくなります。宿題なら、「今日はここまで終えよう」と終わりの位置を見せることも助けになります。
動けたところをその場で返すのも効果があります。「今、すぐ着替えられたね」「次を聞いて動けたね」と見えた行動を短く返すと、子どもは責められるより、前に進めた感じを持ちやすくなります。
うまくいかない日もあります。そんな日は、言い換えができなかったことを悔やみすぎず、次の場面で一つだけ変えてみるくらいで十分です。毎日の暮らしの中では、続けられる形で少しずつ変えていくことのほうが大切です。
見通しが持てると動き方は変わる
見通しが伝わる言葉が増えると、子どもは「何をすればいいか分からないまま急がされる」時間が減っていきます。すると、次第に自分で順番を考えたり、次にやることを思い出したりしやすくなります。
最初は大人の言葉が必要でも、同じようなやり取りを重ねるうちに、子どもの中に順番の感覚が育っていきます。朝の支度でも宿題でも、「次はこれ」と頭の中で動きやすくなれば、自分で進められる場面が増えていきます。
低学年の自立は、急かされることで育つのではなく、見通しを持ちながら少しずつできることが増えていく中で育ちます。短い言い換えの積み重ねは、その土台を作っていきます。
「はやくして」と言ってしまう日があることより、そのあとにどんな言葉を足せるかのほうが大切です。子どもに届く言葉が増えると、家庭の空気も少し変わっていきます。
ご家庭での関わり方と教室での学びがつながると、子どもの言葉や表情は少しずつ変わっていきます。ここからは、みらゼミが授業の中で大切にしていることをお伝えします。
みらゼミが大切にしていること
みらい人材ゼミナールでは、子どもが急かされるのではなく、自分で見通しを持ちながら考えて進める学びを大切にしています。何をするかが見えないまま動くのではなく、問いを持ち、自分で考えながら進む時間の中で、学ぶ姿勢が育つと考えているからです。
教室でも、一方的に答えを与えるのではなく、今どこまで分かっているのか、次に何を考えるのかを一緒に確かめながら学びを進めています。その積み重ねが、子どもの自分で動く力につながっていきます。
家庭での声かけも、その土台を支える大切なものです。短いひと言でも、見通しが伝わる言葉は子どもの動き方を変えていきます。
みらゼミでは、子どもが自分で問いを持ち、考えたことを言葉にしていける授業を大切にしています。
ご家庭での関わり方とあわせて、子どもの学び方を育てる場を探している方は、ぜひ授業の雰囲気をご覧ください。